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高レベルシナリオ作製とマスタリング

 ここで紹介するのは、プレイヤーキャラクターが11レベル以上となる、
魔法学園フリーキャンペーン環境でのシナリオ作製とマスタリングです。
 魔法学園FCのような、平伸ばし高レベル環境となってくると、 GMにとっての一般的なシナリオ作製の手法やセオリーをそのままに用いることが
難しくなってきます。一部には、まったく使わないことにして、忘れた方がいいものもあります。
 そしてまた、ゲームの場には、当環境ならではの特殊な状況も出現するようになり、
GM,プレイヤー双方にとって、特別な心構えを要求することになります。
 そうした部分について、順を追って説明します。

【注意】
これらの記述はあくまでも、当学園環境を前提に考えており、
某サプリのこれらのようなページを参考に魔法学園向けに、
ローカライズしているものです。完全なオリジナル文章ではなく、
ある程度のオマージュなどがあることを、ご了承ください。

ゲームの最大原則

 一部のセオリーが通じなかったり、心構えもオープンがゆえの特別なものが
要求される当環境ですが、ゲームを遊ぶにおいて、大切な心がけがあります。

「全員が」「全員で」楽しむのを目指すこと

 これを忘れてはいけません。ゲームに参加する全員が楽しめることを目標にしましょう。
それを全員が心がけるようにしましょう。

 それが誰であれ、この「全員」は、ひとりたりとも欠けることがあってはなりません。

学生たちは止まらない、止められない

 当環境で冒険を、学生生活を紡いでいくときに、気をつけなければならない最大の特徴は、
PCである学生たちは、いろいろな意味で「制御不能」なところです。
 通常のセッションにおいてであれば働く「ストッパー」があってないようなものです。

学生としてのPCたち

 魔法学園においてのPCたちは、ラクシア世界において、「学生」という身分です。
学生の中でも、かなりの実力のある上位陣であり、場合によっては教授たちですら手の焼く存在でしょう。
 彼らは「学生」として守られており、名声を得ていたとしても、社会的立場が彼らの「自由」を保証しています。
 そのため、「教授からの講義、バイト、依頼、命令」といった手段は簡単に行えますが、
逆に「それ以外の強い立場としての命令」という手段が難しくなります。少なくとも、
その辺の「貴族」やら「冒険者の店の主人」といった人物たちが彼らの行動を縛ることはできません。
 「イヤなら他の人に頼むよ」という脅しは、とても通用しづらいものがあります。
なぜならば、その卓に参加するということは、前提として協力をするという暗黙の了解となるのです。
 ラクシアの社会体系や魔法学園の制度を考察しても、本来、社会的な地位というものは、
制約として働き、キャラクターに自覚と責任を押し付けるものなのですが、
TRPGのセッションの場では、このことが見過ごされやすくなっています。
これについては、プレイヤーが心がけることとして、プレイング指針に記述します。

抜きでた実力

 魔法学園においても、PCたちの実力は抜き出ています。
相性によっては、高レベル魔物であっても、一蹴してしまうことが可能でしょう。
 より強力な、あるいは、PCと互角のキャラクターであるならば、止めることもできるでしょう。
しかしながら、そういうキャラクターをやたらと登場させるのは、PCたちであるという前提を見失っていると言わざるを得ません。
 彼らを直接的に武力で押しとどめるのは困難であり、乱暴すぎるでしょう。
もちろん、例外として、学科長や学部長、学長という存在があり、教授たちという人たちもおり、
彼らを指導していく模範像、もしくは反面教師像であるでしょう。
とはいえ、学生にとっては、教授というのは目の上のたんこぶ、無茶ぶりしすぎても嫌われるでしょう。

対応力の高低差

 高レベルかつ、大量の成長、名誉点、お金、サプリメントの導入によるアイテム、
それらはダメージや、防御面での特化、はたまた再生力。そういった戦闘における
やりとりでの抜きん出た強さは際立った特徴ではありますが、彼らの実力のごく一部の面でしかありません。
 戦闘特化だけではなく、非戦闘特化という、Bテーブル技能をメインとした能力構成や、
立ち回りと言った面で実力を発揮させるキャラクターたちもいます。
 彼らのもっとも強力な側面は、一定の場面での対応力であり、それを裏返せば、
特定条件での対応力の低さです。特に魔法学園で卓を募集する場合は、実質当日になるまでは、
どのようなパーティになるか分かりません。魔法学園において顕著であるのは、
深刻なまでの、セージ役や支援役の不足といったところでしょう。
 さて、地上に障害地形をはりめぐらせるということをしてみると、
再生力のあるキャラクターならダメージを食らって障害を通り抜ける、
何らかの手段で空を飛んで乗り越える、はたまた転移してみると、
これから先のPCたちはやってくるでしょう。  逆にそういった対策をすると今度はそういった役割の人物がいなくて詰んだり、
理不尽な目にあったりと、お互いにいいことがありません。
 鍵も罠も、高レベル先行スカウトの前にはなきも同然であるし、
幻視型占瞳を覚え始めれば、失敗も成功へと変えてしまう、そういったことになっていくでしょう。
 単純な戦闘能力の高さは、強力な敵を用意することでゲーム的には対応できるでしょう。
しかし、何でもできる対応力の高さを持つキャラクターがいる時の活躍の度合い、
逆に対応できないキャラクターがいる時に受ける理不尽感、そういったバランスというものは、
多少の工夫では、どうしようもない難問であり、GMを悩ませるでしょう。

それならば楽しく学生生活だ、「自分たちでやらせてしまえばいいのだ」と考えよう

 ある種の特別な存在であるPCたちによる、日常、学生生活はたまた、冒険といったものは、
低レベル帯で通用した、勢いによるシナリオ進行に頼ろうとしたり、PCたちの選択肢に
制限をかける方法を取ったりでは、下策となってしまいます。
 それがいかに「ダメな例」になってしまうか。それは察して然るべきでしょう。
特に誰が来るか分からない卓であり、参加者は進行に協力でなければいけないという前提上、
どのようなシナリオ進行であろうが、否定できるものではないのです。

制限を強くするのでは、面白くない

 依頼主は、レベル15NPCです。拒否すれば、あることないこと言いふらされたり、
物理的な制裁が予想されます。舞台はGMPCの故郷で、強力なNPCがたくさん在住し、
特定の魔法の使用は即座に無効化されます。回復も減衰され、支援魔法も
効果が逆転してしまいます。
 罠の発見や解除は、とにかく(一番特化してる奴がいるし、ぬるくなっていけないから
レベル11に知力7に補正アイテム色々で、これは難しい罠だから)「29」です。
この罠の発見や解除に失敗すると、(防護型タンクばかりだし、リソース削りたいな、
防護点邪魔だからなぁ)防護点や軽減効果を無視して、「2d+30」のダメージを受けます。

 これは、GMをやる上ではよくある構造ではないでしょうか。
例えば初期作製の冒険者で、冒険者での店の依頼を拒否すれば、
その先に依頼がこなくて、仕事を干されるというリスクもあるでしょう。
特定の効果がギミックによって、無効化されるというのも、ダンジョンでは
よくみかけるし、解除手段もあるかもしれません。罠の発見や解除の目標値は
基準値から考えて成功失敗がそこそこある範囲です。
 しかし、太字のシチュエーションは、ものすごく窮屈に、
そして、理不尽に感じられたはずです。セッションに参加しようという
意欲を根こそぎ刈り取られる気分になったかもしれません。
 キャラクターの立場を考慮せずに、より強いものを持ってきて押し付ける、
キャラクターにできることをあれもこれもと制限する、数値は完全に相対化し、
キャラクターの高い能力に合わせて設定する、リソース削りたいから、
確実にダメージが入るギミックを設定する。
 これらの手段は、高レベルキャラクターの長所や利点を台無しにしてしまうものです。
自分の得意と思っているものを潰され、こき下ろされるような処遇は、たいていの人間に
とって精神的な苦痛となります。「ゲームを楽しく」という原則に照らしあわせて、
余りにも愚策であると言えるでしょう。
 もちろん、例外的にそれがいいという人もいますが、
そちらを基準にしてしまえば、大多数から反感を買ってしまうでしょう。

ところで、なぜ、魔法学園だったのか

 魔法学園という名前を当コミュニティは冠していますが、
これは、ファンタジーの学園という、誰もが共有しやすい世界観を
目指しており、TRPGにおいては、世界観の共有というのは、大事なことです。
 一つには、冒険の舞台として、学園という拠点が有り、先生による依頼や、
同じ立場の仲間である他の学生からの依頼、はたまたバイトとしての依頼と、
雰囲気として非常にいい形を持っているからです。
 これらのものは、先述においての、強いものというものに一部該当しますが、
学園ものということで受け入れやすく、学生であるがゆえに、拒否権も、それぞれ
持ち合わせてるからです。(もちろん、卓に参加した以上実質シナリオの進行に
おいては実質選択は一つになってしまうことが多いでしょうけど、それは
協力してもらうことをお願いするしかありません)
 これは、主にプレイヤーからの動機です。しかし、このセッティングは、
GMにとってもありがたいものであります。通常の冒険であれば、
依頼の裏取りや、裏切りへの対策、その他諸々の「依頼を受けるまで」には
かなりの過程があります。これらは時間制限のあり、それぞれがそれぞれの
スケジュールを持っているオンラインセッションにおいては、時短の要因となり、
素早く本編をはじめることができるのです。(もちろん、そういったギミックを
用意することを否定するわけではありません。あくまでも、当環境においては、
このような手法が有効であるというだけです。それぞれにはそれぞれメリット
デメリットがあり、その環境次第において、いいこと悪いことがあります)
 これにより、短縮できた時間で、本編のボリュームを増すことや、
RPに時間をかけるといったことができるようになります。
 そして、学園のフレーバーとしての設定で、卒業課題に、
迷宮である「塔」の制覇を用意したというのは、シンプルなダンジョン
踏破という目的があり、宝を探した、ボスを倒して、帰還するというだけで、
一つのセッションが簡単に成り立つのです。構造もシンプルであり、移動経路を
ある程度制限でき、そのわりにはプレイヤーが移動の方角や探索をするかどうか、
判断を要求されることが多く、常にゲームに対して能動的に参加しやすいでしょう。
そして、クライマックスには、「その階層の最奥にボスが待ち構えている」という、
黄金パターンの使用もできるでしょう。
 「シナリオが始まらない」TRPGにおいては、適当に罠や魔物、宝物を配置するだけで、
シナリオとして機能するというのは、大きな利点となります。

学生だからこそ、抜け道を探す

 さて、こういった学園設定や、塔という踏破するべき目標があれど、
学生の中には、そういった流れに反発して別のやり方を模索する、
といったものもあり、一部に対してはその特性も通用しないでしょう。
 例えばダンジョン踏破であれば、壁を壊すことを試みたり、
魔法の効果でさくっと全貌を把握して、まっすぐボスに向かったり、
罠があっても、HPがあるからと、耐えながら前進したりと、
想定した手段とは違うやり方で突破してくるかもしれません。  これらは、更に罠をはりめぐらせることだけでは解決できません。
高レベルの今の彼らは、そういったものを感知する達人もいるでしょう。
感知さえできれば、それに対する対抗手段を持ち合わせてるかもしれません。
エアタイトアーマーで毒を無効することや、ホーリー・ブレッシングで追加HPを
与えて、無理やり突破する、あるいは特殊神聖魔法かもしれません。
PC側にいくつもの対抗手段がある高レベルの冒険、特に魔法学園環境の
平伸ばし推奨の場所であれば、先回りしてショートカットを潰そうとする
試みは、いたちごっこに陥るだけです。GMはあれこで考えて疲弊し、
プレイヤーは偏執狂的な仕掛けに苛立ちを覚えるという、お互いに幸せになれない消耗戦なのです。

それならば、好きにやらせよう

 先述のような例に限らず、「プレイヤーの移動や行動を限定し、ゲームをコントロールする」。
この考え自体が無理になってくるのが、高レベルでの冒険です。
 不思議な事件を起こし、謎の痕跡を残し、正体を識るには、聞きこみをしなければいけない。
もうお気づきでしょうが、これはうまくいきません。痕跡のある場所にル=ロウド神官を連れてきて、
過去の声でも聞くことができれば、解決されてしまうかもしれません。
 GMは、もう開き直るべきです。好きにやらせようと。
彼らの考える道こそが、彼らを成功にたどり着かせるのだと。 ダンジョンであれば、そのまま通路を進むもよし、究極壁抜けをしてもよし、
どちらがいいかは、判断するのはPCたちです。そのことに対して「評価」を与えよう
としないことです。結果として、魔物の背後をとることもあれば、正面に出てしまう
こともあり、もしかしたわ罠のど真ん中に飛び込むこともある。
それはダンジョンの地図を見ながら、機械的に裁定すればよいのです。
「やりたければ、どうぞ」という心づもりでいましょう。  プレイヤーの思いつきは積極的に採用するつもりでいるべきです。
無理な理屈で否定にかかってはいけません。
 大丈夫です、1つ2つ注意すれば、彼らが無軌道にどこか彼方へと
飛んで行くことはありません。あえていうならば、振り回す人と
振り回される人がいたら、そっと、胃薬を差し出すといい塩梅かもしれません。

必要なのは明瞭な目的

 TRPGシナリオでは、冒険の真の目的が開始時に不明瞭であったり、
ミスリードが入っているものがあります。ダンジョン探索で、
最深部に何が隠されているのか分からないもの、推理して簡単に
でてくる答えが引っ掛けであるものなど、思わぬ真相が隠されていた
という意外性は、うまく使えばプレイヤーに楽しい驚きを与えることができます。
 ただし、これは「うまく使えば」です。さじ加減一つで、大きな失敗に
繋がる諸刃の剣です。そしてこのタイプのシナリオは、高レベルの冒険とは、
あまり相性がよいとは言えないのです。特に学生であるPCたちは、
ミスリードしてしまうと、誤解のまま思い込んでしまい、明後日の方向へと
突き進んでしまう可能性があります。通常ならば、何らかの形で軌道修正できますし、
致命的な誤解を解くためのし掛けを用意しておくことができますが、
そうした工夫ですら、思い込みで気づかれない、力技で突破してしまう危険を
高レベルのキャラクターは持っています。  高レベルのPCたちに一直線に突破されかねない、それが怖いとつい構えたくなる
気持ちはわかりますが、その考え方は先に述べた通り、限りない不毛な消耗戦に
GMを陥れてしまいます。
 高レベルでの冒険は、あえてPCたちに明瞭な目的を与えることが大事です。
「何をしたらいいかわからない」「ぱっと最初に思いつく方向は誤り」
「別に私いなくてもよくね?」。こういったものは、PCたちがあらぬ方向へと、
すっ飛んでいく可能性を増やしてしまいます。
 高レベルのPCたちを曲げることはできません。一直線の突破は前提です。
ならば、最初から方向を合わせておかねばなりません。

魔法学園にて用意されるべき障害

 とはいえ、本当にただ一直線の突破を許していたら、それは
ゲームのシナリオにはなりません。ラストバトルだけを抽出した
戦闘ゲームになってしまいます。
 中途に何の障害もないでは、冒険を楽しんだという感覚は、
得られません。高レベルにふさわしい障害もまた、存在すべきです。
 「とにかく無理難題を一つ」考えてみてください。常識的な範疇では、
「かなり厳しい」と思えるようなものを。その上で、平均的なパーティー
の能力で突破できる方法がないかどうか、自分で考えてみます。
二つか三つ思いついたなら、それはシナリオに組み込むことが可能です。
逆に一つしかなければ、どうにもならないという難しさと考えてください。
これはどのようなパーティーが来るか分からないからです。
四つ五つ思い浮かぶようならば、少し簡単かもしれませんが、
「学園モノ」であることを考えるとそれぐらい手段があってもいいかもしれません。
 気をつけなければならないのは、事前に自分が確認した方法は、
「無数にある手段の一つ」と考えておくことです。それは唯一の正解ではなく、
万が一のための安全弁です。実際のプレイの中で、プレイヤーたちがあれこれと
知恵を絞り、突破の方法を考えてくるでしょう。そして、それを積極的に
採用するようにマスタリングします。
 この方法はより低いレベル帯でも使えますが、
PCにできることの少ない低レベル帯では、GMの思いつきが唯一の
正解になってしまう危険性が有り、ゲームが停滞するリスクが高くなります。
低レベル帯では、手順を踏んで、着実に攻略できる障害が安全であり、
それは十分な冒険となるでしょう。


【まとめ】